ひさびさに鶴見俊輔の本を手に取った。詩について書いた新書判の軽いもので、短い評論を集めたものだから、どこからでも気ままに読んだり飛んだりできてよい。
以前にもどこかで書いた気がするけど、初めて彼の文章を読んだとき、まったく歯が立たなくて愕然とした。こんなにちんぷんかんぷんな日本語があるのか、と思った。その衝撃が忘れられなくて、間をあけながら、思い出したときに著作のあれこれに挑戦するようになった。途中で投げ出さない程度には読めるようになったかな、と思いつつ、でも書いてあることの一割も理解できているのか、自信がない。
本は語彙や論理力だけで読むものではない、と教えてくれた人である。彼の読書を通じて、自分の人生の体験が少しずつ積み重なっていることを知る。