Prismatic thunder

夕方、買い物からの帰り、見晴らしのいい大通りを歩いていると、遠く東の空に稲妻が走るのが見えた。虹みたいな色が取り巻いているのが珍しいなと思った。これまで見た稲妻はだいたい白に近い生成色をしていた。まだ日没から時間の経っていない明るいときで、雲も神戸の方は薄く、陽光が雷までよく届いたのだろうか。関係あるのかどうかもわからないけど。

その時間帯は大阪方面で強く雨が降り、落雷があったと後日知った。神戸はパラパラ降り始めた程度だったが、濃淡のグレーの雲が風に流されて見る間に形を変えていく様子に、いつ雷が落ちてもおかしくないという不安にとらわれ、慌てて腕時計を外し、ちょっとひらけた道は精一杯駆け足で渡った。

気分が塞ぎ込んで自分のぐるぐる回る思考から出られないときは何もかもが重く破れかぶれになったつもりになるのだけど、雷ほどの圧倒的な自然を目の前にすると、本当に死ぬかも → やだやだやだ(怖い)となる自分が滑稽である。

雷の色は、いま思い返しても美しかった。