会社員時代、レクリエーションの一環で、ちょっといいところで食事をしたことがある。中華料理のコースだった。そこにいたメンバーは女性ばかりで、軽く運動して気持ちがほぐれていたのも手伝って、普段の生活ではあまり馴染みのない場所と食事にみんなテンションが高かった。いま思い出しても顔のほころぶ明るい時間であった。
コースは、一皿一皿は上品な量だったけど、とにかく品数が多く、後半はみんな食べ終わるたびに「もうお腹いっぱい!」と声を上げていた。にもかかわらず、新たに料理が出てくるたび、きれいに平らげてしまうのだった。本当に美味しい食事は、体がどんどん受け入れてしまうのだなあ、とそのとき実感した。膨満感を超える摂取は、体にはいいとは言えないけれども。
ハレのためにちょっと奮発したお肉が、これまで食べた中で一番じゃないかというくらい食べやすくて感動したので(私はあんまり胃腸が頑強でなく、ステーキや焼肉の類を前にすると、高確率で、連れ合いに譲るか胸焼けするか胃もたれするのである)そんなことを思い出したのだった。体は正直だなあ、と思う。